『冴えない彼女の育てかた 6』
だから!まだ共通ルートなのに個別ルートに匹敵する情動を叩き込むのやめてよぉぉおおお!!!でも、ここで、こんな形で次巻に続くのか!!!という懊悩を抱えて悶えてます。
まさか英梨々のエピソードが、あの某浮気ルートを思い起こさせる展開を伴ってやってくるとは思わなんだ。。でも、別に倫也が壊れてしまったわけでも、2人でどこまでも堕ちていこうとしてるわけでもない。いや、冬コミでのパッケージ版頒布という、大切な機会は壊してしまったんだけれども、それを倫也は自分の意志で選択してる。それをさせてしまったのが英梨々、なんだよなぁ。読んでて思わず、"手元に置いとく道具箱"って言葉が頭に浮かんでしまったけど、倫也の英梨々に対するこの扱いは"道具箱"って感じじゃないよなぁ。そんなふうに、倫也にとっての英梨々の特別さを彼の行動から実感させられる一方で、彼の本心は違う意味で彼女が特別だと言っている。
倫也と英梨々の仲直りって、いったい何をしたら仲直りと言えるんでしょうね。英梨々は倫也に認められる誇りが欲しかった。けれども、倫也は"自分だけの"英梨々が欲しかった。自分にはそう読めた気がします。あの夏の花火の夜に預けた勝負は英梨々が戦い抜いたことで区切りがついた。でも、倫也はそれだけじゃない感情だって抱えてしまってるし、そこについての決着は倫也が誰かを選ぶまでつかないのかもしれない。いや、今はそれだけで済まないのかもしれない。その辺りの決着の着かなさ具合がまた悶々としますね。本当に、これだけ滾った感情をぶつけてるのに、まだ誰のEDにも到達できないってのが歯がゆいですわ。伊織じゃないけど、何も無かったことの方があるわけないよなぁ、本来なら。
倫也が感じた劣等感が英梨々の幼なじみとしてのものなのか、それとも一人のクリエイターとしてのものなのかは気になるけれど、そこが宙に浮いたままであることと、この巻のラストは関係があるのかどうか。倫也が認めた英梨々は大勢のファンのためではなく、倫也一人のためでしか到達し得ない新境地なのか、と言ったことまで考えてしまったけど、それだと益々着地点が分からないな。。
そして、この巻でもう一人。解決されずに棘が刺さったままとなっているのが恵。てゆか、倫也は英梨々にすべてを捧げてる間、やっぱり恵たちには連絡取ってなかったのか・・・。事前に恵が提案してくれていた方法と、これまで彼女が自分からサークルに関わろうとしてきた変化を考えれば、恵の気持ちは必然だよなぁ。けど、それでも倫也はその『責任』が欲しかった、ということを行動で表してしまっている。結果として、倫也が取ってしまったのはディレクターとしての責任じゃなくて、英梨々の幼なじみとしての責任なんだもの。
と、最後まで読み終えてからこの巻前半の倫也と美智留のやり取りを思い返すと、少しラストの居心地の悪さ、というか不安感に形が与えられるような気がしますね。「サークルが上手く回っているのは恵のおかげであり、恵は一番の味方だけれど、一番の敵でもある」ということ。このやり取りの後半部分について、美智留に指摘された時に倫也はその意味を理解できていなかったけど、だからこそ、このラストってことなのかなぁ。いや、自分もそこはまだ全部が理解できてるとは思ってないんですけど。
倫也との『ちょっとした断絶』が一月以上が経過してしまった中で、恵は何を考えているんだろう。怒っているのか、後悔してるのか、それとも悔しいのか。この巻のラストの恵は、2巻で彼女が見せた”ムッとした表情”の更に先の状態にある気もするけど、あの時彼女のその表情を描いた英梨々を倫也が選んだからそうなったってわけではなく(恵自身も言ってるように倫也が正しいことをしたのは分かってるのだろうし)、たぶん恵自身が倫也をどう思っていて、どう思われたいかの問題である気がするけど、ここからどう解決するのかが分からないなぁ。倫也の傍らにある恵の居場所はどうすれば、取り戻せるんだろう。
英梨々との問題もそうなんだけど、ヒロインとして結ばれるかどうか?ってことと平行して、サークルメンバーとしてどうか?クリエイターとしてどうか?っていう葛藤がある気がして、その辺りが先の読めない不安感を後押ししてる気がします。
次巻の季節は春。冬が終わり、君のいない春が来る。元より詩羽先輩は卒業してしまうけれど、果たして本当にそれだけで済むのか?そんな不安を感じつつ、次巻を待つのがもどかしいけど、次は短編集かぁ。。まぁアニメ化と合わせてどんな展開がやってくるかに期待して待つしかないか。。
それにしても、今回の髪を伸ばした恵はヤバイね。。正直彼女のポニーは最初のショートボブと比べて、そんなにツボじゃなかったんだけど、あれはこの髪形に到達するためのいわば蛹の時期だったのかと思ってしまうような。正直、凄みを感じるくらい綺麗な女になってると思う。今の彼女は。それこそ、図らずもこの巻のラストと重ね合わせて、closing chapter冒頭の雪菜のような存在感を感じてしまうなぁ。